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病院経営 虎の巻

虎の巻その17 病院経営におけるマーケティングの視点(下)

病院経営虎の巻その17 病院経営におけるマーケティングの視点(下)

1.はじめに

こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。
引き続きマーケティングの話題です。

前回は定量分析する方法を紹介しました
今回は対象病院のイメージ、対象病院を取り巻く診療圏全体の環境および動向を定性的に把握するための方法を紹介します。

ここで紹介するのは単純な方法なのですが、外部機関への「ヒアリング」です。

2.外部ヒアリング ~外部認識・定性分析~

現在の病院戦略とのミスマッチを修正し、本来的に地域で果たすべき役割・期待されている役割を確認することができます。
ヒアリング対象と項目は以下の通りです。

① 競合病院
② 連携先医療機関
③ 救急隊

項目は「周辺環境」、「ヒアリング先の状況」、「自院について」

ひとつずつ説明していきます。

① 競合病院
周辺環境     : 地域性、特徴、地元医師会、開業医
ヒアリング先の状況: 病院実績、特徴、競合先
自院について   : 印象、風評、期待する機能

② 連携先医療機関
周辺環境     : 地域性、特徴、地域の連携状況
ヒアリング先の状況: 他病院の連携取組状況
自院について   : 印象、連携状況、期待する機能

③救急隊
周辺環境     : 地域の救急状況(搬送実績、当該病院の応需率・印象)
自院について   : 印象、受入体制・フィードバック状況に期待すること

以前、患者数を増やすための指標で示した「患者フロー」として[自院直接]、[紹介]、[救急]の3ルートがあることを説明しました(虎の巻その11 病院の収入について(上))。
これらのルートに直結する関係先をヒアリングすることにより、外部の環境、外部からの印象を定性的に把握し、定量分析と掛け合わせ、マーケティング戦略を構築していきます(図①)。

病院の入退院ルート

(図①)病院の入退院ルート

3.外部ヒアリングのポイント

具体的に我々がどのようなポイントについてヒアリングしているかを ① 競合病院 と ③ 救急隊 の例を羅列してみました。

【競合病院へのヒアリングポイント】

~「医療圏環境」について~

  • 医療圏の人口動態・傾向(増減・高齢化・疾患特性などの印象)
  • 病院(病床)の充足度の印象 ⇒ 一般病床、療養病床、介護施設、その他
  • 競合状況 ⇒ 急性期、療養型(医療・介護)、介護施設、リハビリテーション病院
  • 地域患者層と病院機能のマッチング状況は(印象を聞く)
  • 医療圏内に「地域性」はあるか ⇒ 実質的な境界線・分断線(の有無)の確認
  • 医療圏内において「住み分け」があるか? ⇒ ●●科は▲▲病院のような風評
  • 医療圏内に「派閥」があるか?
  • 医療圏として「完結型」か、周辺との流入・流出がある地域(どこ?)か?
  • 医療圏のレベルは?
    ⇒ 急性期: 機能分化が進んでいるか、みんな何となく並存している地域か
    療養型: リハビリテーションの充実などに積極的な施設はあるか(多いか)、老人病院からの成り行き的転換が多いかなど(歴史的背景も踏まえて)
  • 中核的位置付けはどこか ⇒ 急性期・療養型・リハビリテーション施設・介護施設
  • 機能分化・役割分担の考え方が浸透している地域か?連携の状況はどうか?
  • 医師は地元偏重傾向強いか(どこの医局のシェアが大きいか)
  • 医局のレベルの評価は?
  • 地域ニーズの傾向は
  • 今後どのようなニーズが見込まれるか?
  • 地元医師会の動向、状況など(対地域、病院など)

~自院について~

  • 自院の印象(果たしている役割、地域での位置付けなど)
  • 自院のレベル感(病院としての機能、各職種の風評)
  • 風評(患者まわり、同業まわり)
  • 日々のやり取りの中での自院に対する印象(クレーム・評価など)
  • 自院が地域から求められるニーズ
  • 自院への要望事項、すべきこと
  • 自院に患者を紹介する際の基準、ポイント(紹介患者がいれば)
  • 自院に患者紹介しない理由(紹介患者がいなければ。診療科目の関係もある)
  • 自院との接触状況。MSW(※1)・連携室ベースor事務長クラスor院長クラスか。
※1 MSW Medical Social Worker:医療ソーシャルワーカー
保健医療機関などにおいて患者や家族の相談にのり、社会福祉の立場から経済的・心理的・社会的問題の解決、調整、社会復帰を支援する。
「社会福祉士」か「精神保健福祉士」の資格を取得することが一般的である。

【救急隊へのヒアリングポイント】

~所轄管内状況~
まずはホームページなどでデータ開示しているデータを収集します。
年報を配布しているケース、その場で閲覧できるケース、非開示のケースと様々なので事前に確認しておきます。

  • 救急車搬送台数規模と内訳(緊急度判定、原因など)とトレンド(増加基調か減少基調か)
  • 管内の搬送患者の特性(外傷が多いのか、急病が多いのか)
  • 主要な搬送先と件数(開示されないケースが大半なので、可能な範囲でヒアリング)
  • 救急当番制の状況
  • 搬送先に関する判断基準(主たる搬送先はかかりつけだが、それ以外の場合に、外傷は▲▲病院、■■地区は○○病院、のような基準)

~自院について~

  • 自院の印象、風評
  • 自院の受入体制(連絡、搬送待機など)、断り状況
  • 事後報告体制(受入患者に関する報告など)
  • 問題点、改善・要望事項
  • 共同勉強会や交流会の実施状況

4.まとめ

  • 病院の外部認識・定性分析のヒアリング対象には①競合病院、②連携先、③救急隊がある

外部環境の定量・定性分析を行い自院の課題を把握できた後には、マーケティング戦略を立て、実行に移していきます。

最後に、広告を検討する際の注意点をひとつ。
医療広告は「医療法」にて規制されています(病院に設置されている、または患者からの申し出があり渡すパンフレットなどは規制の対象外です)。
医療広告ガイドラインは更新されているので、都度確認が必要となりますので留意しましょう。

病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!

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