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病院経営 虎の巻

虎の巻その10 キャピタルメディカ流、病院の経営戦略策定メソッド(下)

虎の巻その10 キャピタルメディカ流、病院の経営戦略策定メソッド(下)

1.はじめに

こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」前々回から続いたテーマも今回がラスト。3つの経営改善ポリシーを共有し、押さえておくべき3つの視点をもって、いよいよ具体的な経営戦略をたてていきます。

2.徹底したデータ分析

前回、病院自体が持っている「機能の価値」(やりたいこと・できること)と地域にもたらす「存在価値」(やるべきこと・求められること)のマッチングで病院の事業競争力を高める、とお伝えしました。
その際に、病院立ち位置を正確に把握しておかないとミスリードに繋がりかねません。そのためキャピタルメディカでは徹底したデータ収集、分析を行っています。

【内部環境分析データ例】

  • 患者数
  • 新規入院患者数
  • 退院数
  • 入退院ルート
  • 検査数
  • 手術数
  • 指導料算定数
  • 売上
  • 診療単価
  • 配置職員数

…などなど。

さらに細分化して、入院外来別、診療科毎、病棟別等を収集し、病院の内部データから「機能の価値」(やりたいこと・できること)を明確にします

並行して、国の政策、診療報酬改定の動向、人口構造などの外部環境の変化を客観的に分析し「存在価値」(やるべきこと・求められること)を想定します

【外部環境分析データ例】

  • 人口推移
  • 受療率
  • 地域(医療圏)の医療構想
  • 周辺医療機関の情報

…などなど。
必要に応じて、外部組織(医療機関、行政等)へのヒアリング行います。医療圏内の患者の流れ、働く人の流れ、外部組織から見た自院の立ち位置を把握するために有用です!

3.経営戦略の選択

分析データを基に、他医療機関と差別化を図り、地域のニーズに合わせた「機能の価値」の提供に向かって経営戦略を立てていきます。
もちろんいきなり1つの案に絞られることは稀です。A・B・Cパターンのように複数の仮説が存在する場合がほとんどです。それらの仮説を「必要性」「妥当性」「経済合理性」から検討し、経営戦略を最終決定します。(下図参照)
(図1) 経営戦略の最終検討事項

(図1) 経営戦略の最終検討事項

【必要性】
本当に病院の継続、経営改善・再生が必要か、当事者に経営改善への強い意志があるか。
【妥当性】
再生プランに確実性があるか、公平性、透明性があるか、経営責任の明確化はなされているか。
【経済的合理性】
収支的に成り立つか。債権者等の理解が得られるか。

このうちひとつにでもブレが生じた際は改めて戦略を練り直す必要があります。

また、その際に注意が必要なのは現状を意識しすぎないことです。
現状把握をすると同時に、経営改善する前と後の将来像もきちんと分析し提示する必要があります。目指す方向性とそれを実現するための戦略が定まることで、正しい現状評価ができるようになります。
病院経営はいっきに悪化するのではなく、徐々に徐々に蝕まれていくものです。それゆえ現場にいると事業価値が著しく低くなっている状況に気づきにくく、我々がサポートに入り、想定していた将来像と異なる経営改善のシナリオを提案しても「そんなことは出来ない」、「無茶だ」と消極的な反応をされることは多々あります。
根拠もないのにできると風呂敷を広げ過ぎるのも問題ですが、全てを過小評価することも同じくらい危険な判断です。

4.まとめ

  • 経営戦略を立てる前にデータ分析を徹底する
  • 内部環境分析で「機能の価値」を、外部環境分析で「存在価値」を導きだし経営戦略の仮説をたてる
  • 経営戦略の仮説は「必要性」「妥当性」「経済合理性」から検討する

繰り返しお伝えしますが、計画としてバラ色の数字を作るのは非常に簡単なことです。経営改善をやり切る意志があるのか、実現可能性はあるのか、収支は成り立つのか、そして、経営責任を取れる覚悟はあるのか。これらを確認した上で、立てた経営戦略(方針)を基に、実行できる具体的な戦術(方法)を検証していくことが重要です。
病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!

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