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病院経営 虎の巻

虎の巻その9 キャピタルメディカ流、病院の経営戦略策定メソッド(中)

病院経営 虎の巻その9

1.はじめに

こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。前回は病院と共有している3つの経営改善ポリシーを共有しました。

① 病院は事業が継続してこそ価値がある
② 病院は地域の人々や職員のものである
③ 全ての病院は地域との関わりなしに存在し得ない

これらを前提に、病院再生に向けて経営戦略を練っていくのですが、その際に考えるべきポイントを今回はご紹介します。

2. 経営戦略策定の際に押えておくべき3つの視点

キャピタルメディカでは以下の3つの視点を重視しています。

① 病院機能そのものの【事業競争力】の強化
② 戦略を実行するための【経営体制】の強化
③ 【財務基盤】の強化

2-①.病院機能そのものの【事業競争力】の強化

病院は地域のものであり、地域との関わりなしに存在し得ないことは先に述べました。それゆえ地域の中での立ち位置、地域で何が必要なのか、客観的に知っておく必要があります。
さらに、変化する医療制度をとらえ、この国が向かっている方向性や出している方針を踏まえた対応できているか、を把握していく必要があります。

キャピタルメディカが実際に病院の事業競争力をどのように計っているかというと、資産価値でも現在のキャッシュフローでもなく、病院自体が持っている機能(機能の価値)と地域にもたらす存在価値の掛け算で判断しています。(下図参照)

(図1)病院の事業価値評価のイメージ

(図1)病院の事業価値評価のイメージ

 持っている機能を駆使して、自院のやりたいことだけをやろうとしても、成り立ちません。
例えば、「循環器を専門とした急性期医療に力を入れよう」とした場合、近隣にある病院がすでに同じ機能を持ってとしたら患者の取り合いをするだけです。それ以前に、地域のニーズが無いかもしれません。そうならば患者は集まりませんね。
一方で、近隣病院が脳神経外科や外傷などを売りにしていたり、ニーズはあるけれど循環器の特定の治療法しか提供できず患者を受け切れていない、といった状況であればどうでしょうか?病院の存在価値は高まりますね。

このように、決算書や数字が表すもの以上のバックグラウンドを正確に判断し、評価することでしか価値は表せません。
自院の「やりたいこと・できること」、と地域で「やるべきこと・求められていること」をマッチングして、病院の事業競争力が高めることが経営改善への道のりとなります。

2-②.戦略を実行するための【経営体制】の強化

策定した事業戦略や再生へのシナリオを戦術(方法)に落とし込み、実行するために経営体制の強化をしていきます。
トップの経営意識欠如していると、経営体制の足かせとなって業績悪化の責任所在が曖昧となり、悪化原因の精査、対策が正常にできません。そこで、ガバナンス体制の強化(経営陣の慢心の排除など)、意思決定機関の再構築(会議体の見直し)などを行っていきます。
その6 でも触れましたが、病院はライセンスを有する専門職が多く働いている特殊な環境です。一つの目標に向かって職員を動かすために、動機づけをする旗振り役、改革主導者の強烈なリーダーシップを発揮できる人材、描いた戦略を実行できる現場の核となる人材が必要です。
計画として良い数字を作るのは非常に簡単なことです。どんなにバラ色の事業戦略を描いたとしても、経営者が実行する「覚悟」が無ければ、事業の遂行能力が低下し「絵に描いた餅」になってしまいます。

2-③.【財務基盤】の強化

財務、いわゆる「お金」への嗅覚を高め、盤石な財務基盤作りをしていくことは重要です。他の事業会社と同様に、病院を継続させるために資金は欠かせないものです。いくら事業競争力があり、経営体制を強化したとしても過剰負債を抱えたままでは再生は成り立ちません。どうやって過大債務を解消するのか、今後の投資に関しても、妥当性や投資額の見積は適正か、動態的視点(債務弁済能力の視点)と静態的視点(実態債務超過解消の視点)を持って、財務分析を行います

3.まとめ

  • 「機能の価値」と「地域での存在価値」のマッチングで事業競争力を高める
  • ガバナンス体制の強化、意思決定機関の再構築で、経営戦略を遂行する体制を整える
  • 動態的視点と静態的視点による財務分析で、盤石な財務基盤を作る

次回、は経営戦略の仮説の立て方についてご紹介します。
病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!

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