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病院経営 虎の巻

虎の巻その2 病院経営~虎の巻~始まります!(下)

1.はじめに

こんにちは。虎兄(とらにぃ)です。
前回より始まった病院経営コラム「病院経営~虎の巻~」。前回、病院の経営状況をご紹介しました。今回は医療施設数の推移についても見て行きましょう。

2.一般病院は減少傾向

厚生労働省「医療施設調査 平成30年医療施設(動態)調査」によると、2018年度の一般病院は8,372施設。1975年と比べると0.9ポイントと微増となっています。一般病院施設数がピークである1990年と比べると17ポイント減となっています。一般診療所(※1)は1975年と比べて39.7ポイントと大幅に増加しているのと対照的です。【図①】

※1 患者を入院させるための施設(=病床)を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの。「クリニック」や「医院」という名称をつけている施設がこれにあたる。

医療施設数の年次推移
【図①】厚生労働省「医療施設調査 平成30年医療施設(動態)調査」をもとに独自に作成

 

高齢者割合が増え、受療率も増加し医療の必要度が高まっている状況とは逆の結果となっています。なかでも病床数が少ない小規模な病院数が多く減少しています。
その背景として、医療の多角化、専門性の増加等による医師不足、が要因としてあげられます。小規模な病院では、地域から総合的な医療を見ることが求められるため医師の確保が難しくなり経営継続が困難となった、と考えられます。

また、昨今の診療報酬改定(※2)の影響を受けたとも考えられます。診療報酬改定の中で、感染対策、安全管理など医療の質の管理がより一層求められ、医療従事者の業務量は増加しています。しかし、小規模病院では多くの職員数を抱えることができず、良質な医療スタッフ確保が困難となっています。

一方で、150床から200床未満の病院数は増加しています。コンパクトで管理が行き届いた医療が提供できるという観点や、独自の病床再編等でダウンサイジングが進んできたこと、小規模病院の統廃合が進んだことが要因といえます。

※2 診療報酬は2年ごとに改定される

3.病床数も減少傾向

病院数の減少に伴い病床数にも変化が表れています。厚生労働省では、これまでの医療提供体制の歴史を以下の3つの時代区分に分類しています。
①医療基盤の整備と量的拡充の時代(1945年から1985年まで)
②病床規制を中心とする医療提供体制の見直しの時代(おおむね1985年から1994年まで)
③医療施設の機能分化と患者の視点に立った医療提供体制の整備の時代(おおむね1992年以降)

3-①.  医療基盤の整備と量的拡充の時代(1945年~1985年)

1955年の一般病床数は、全国で31万床。その後1955~70年の15年間で病床数は85万床と約3倍に増加しました。
1973年(一部では1960年から実施)から老人医療費の無料化が開始されると、高齢者による医療機関のサロン化による外来の肥大、社会的入院(※3)の増加もあり、病床の需要は益々高まっていきました。ほどなくして老人医療費増加など弊害の指摘がなされ、1983年には老人保健法が制定され一部負担金が設定されました。それでも1980年代後半まで5か年ごとに15万~20万床のペースで一般病床は増加し続けました。

※3 入院治療が終わっても、家族の都合等により長期入院を続けること

3-②.  病床規制を中心とする医療提供体制の見直しの時代(おおむね1985年~1994年)

1985年の第一次医療法改正では、地域医療計画による病床数の規制が決定、1989年8月に地域医療計画に基づく規制が開始されました。
それに伴い、いわゆる「駆け込み増床」による医療需要の増加を上回る病床の増加があったとされています。仮に必要病床数制度の導入がなかったとしても、1990年~1992年には同程度の病床数になっていたことが推察されています。

3-③.  医療施設の機能分化と患者の視点に立った医療提供体制の整備の時代(おおむね1992年以降)

1990年にピークを迎えた一般病床数は微減傾向に転じていきます。

病床数の年次推移
※図④ 厚生労働省「医療施設調査 平成30年医療施設(動態)調査」をもとに独自に作成

4.病院新築ラッシュから30年が経過

前述した通り、病院数および病床数のピークは1990年代前半、すでに30年が経過しています。当時の病院新設ラッシュで建てられた多くの病院が老朽化しています。
築30年のマンションに住み続けるとなったら色々とメンテナンスに手をかけますよね。24時間稼働している病院ならなおさらです。なにより病院としての安全性を確保するために大規模修繕や、建て替えが必要な状態となり、病院経営を圧迫する要因の一つとなっています。

5.まとめ

  • 日本の一般病院は約8千施設。
  • 一般病院数施設および病床数のピークは1990年台前半。その後は減少傾向にある。
  • 築30年以上老朽化した病院が多く残存している。

比較的新しい病院も中長期的な経営戦略を考える際には、建て替えや新棟建築といった大きな投資を見込んでの計画が必要となります。

さて、次回は診療報酬について。病院はどのように収入を得ているのかをご紹介していきます。「病院経営~虎の巻~」、次回もお楽しみに!

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