1983年の国民医療費の総額は約14兆円。1974年以降1983年まで、その総額は毎年1兆円に近いペースで増加していた。その後も増加傾向は続き、キャピタルメディカを設立した2005年には、約32兆円となった。しかしながらその間に、医療機関の経営は安定的で、強固のものになっただろうか。
バブル崩壊後、空白の10年間を経て、不良債権の圧縮が積極的に行われた。その中で、事業会社の再生が進んだ一方、医療機関については手付かずの状態が続いていた。国民医療費の増加とは裏腹に、医療機関の経営状態は非常に苦しい状態へと追い込まれていた。加えて、医療という公共性が障壁となり、その状態を脱却するために動こうとする者は現れなかった。それどころか、多くのブローカーが病院の資料を持ち歩き、医療現場で働く人達の気持ちを踏みにじるかのような姿勢で話をしていく。
医療業界には金融を理解している者が少なく、また、金融業界にも医療を真に理解する者は極めて少なかった。
個人の意思に基づき医療機関を選び、さまざまな病で受診する。私たちに与えられる医療は平等で、安心できるものであると信じている。しかしながら、現在のように医療改革の方向が明確に定まらず進んでいくとしたら、現在の医療機関と私たちとの関わりまでもが変わってしまう可能性すらある。
我々は、国民皆保険制度や自由意思により医療機関を選択できるこの状態を素晴しいものだと考えている。それが維持されず、欧米のような医療供給体制になったとしたら、それはとても残念なことではないだろうか。現在の医療供給体制を守るために、進まなくてはいけない進歩の道があると考えている。
ただ、医療を誠実に行うだけではなく、経営についても真摯に考え、将来を見据えて運営していく努力。そのために必要な協力をできる限りさせていただきたいと考えている。そして、医療業界を高度化するためには、周辺業界も変革させなければ、現在の医療供給体制を守ることはできないと考えている。そのために成しうる行動のすべてを、我々は金融及び医療業界を深く知ることにより、発想し、実践しようと考えている。
代表取締役 古川 淳